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2006年11月16日 (木)

ローマ人の物語 〜 悪名高き皇帝たち


"ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)" (塩野 七生)


"ローマ人の物語〈18〉悪名高き皇帝たち(2)" (塩野 七生)


"ローマ人の物語〈19〉悪名高き皇帝たち(3)" (塩野 七生)


"ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4)" (塩野 七生)

 ここに登場する4人の皇帝で、私が一番好きなのはティベリウスだ。アウグストゥスよりもカエサルよりも好みかも知れない。統治のシステムを盤石なものにするという、業績の渋さがたまらない。孤高の人といった感じもまた強い信念が伝わってきて、私としては好印象である。
 カリグラは論評に値しないだろう。
 友人にしたいのはクラウディウスだ。正しいことを正しい方法でなしていれば必ず認められるという彼の行動理念に、私は共感を覚える。
 ローマに行ったときに、タイム・エレベータというローマの歴史を駆け足でたどるアトラクションを見た。その中に皇帝ネロがローマが火の海になっているのを見て歓喜の笑いを浮かべているシーンがあった。実際に、当時のローマではネロがやらせたという噂が消えることはなかったらしいが、どうもこれは事実ではないらしい。その証拠に、ネロはこのローマの大火の復興の陣頭指揮をとっている。
 この本を読む限り、その「暴君」度は、歴史上の他の登場人物に比して特別なわけではないと思う。現代になってもここまでひどい評価を受けている理由は、ローマ帝国がキリスト教を排斥する先鞭をつけたからだろう。現代の世界における標準的な価値観が、良くも悪くもキリスト教的なものに基づく以上、しかたのないことなのだろう。

 最後に、なぜタキトゥス(に限らずローマ史を書いた人々)がローマ皇帝を悪く書くのかを分析しているくだりが非常に面白い。ローマの統治機構が盤石で平和だからこそ、体制批判でしか自らの存在価値を見いだすことができない。それが理由だと。現在の日本についての強烈な批判が込められている。私も全くその通りだと思う。いわゆる進歩的文化人だったわけだ。タキトゥスは。

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